PER UN PUGNO DI SAMBA
ブラジルの音楽界を代表するシコ・ブアルキの作品に、イタリア映画音楽界の巨匠であるエンニオ・モリコーネがオーケストラのアレンジを施すという、とてつもなく贅沢なアルバム。
エンニオ・モリコーネはブラジル音楽に強い関心を持っていたらしく、当時イタリアに亡命していたシコ・ブアルキと共にコラボレーションを行ったのも不思議な話ではないのかもしれない。
聴いていくと、美しいシコのメロディはもちろんのこと、エンニオ・モリコーネの紡ぎ出す夢の様なオーケストレーションがたまらなく魅惑的。本当に夢の世界に行ってしまいそうなほどで、思わず不思議な「魔力」を持ったサウンドと言いたくなってくるほど。
どの曲も素晴らしいが、アルバムを通して聴いていくと、ある種のトリップ感覚に陥ってしまうほどの濃密な雰囲気に満ちている。その点では、当時のMPBの諸作品の中でも群を抜いていると思う。