CHICO BUARQUE

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CHICO BUARQUE(1989)

 美しいメロディの"MORRO DOIS IRMAOS"で幕を開ける、シコ・ブアルキのソロとしては14枚目のアルバム。このアルバムでは、美しいシコの作品はもちろん、エドゥ・ロボ、ジルベルト・ジル、ジャヴァンとの共作曲が収録されている。

 穏やかな雰囲気に満ちた心地よいアルバムで、聴きはじめると何度もリピートしてしまいたくなる。浮遊感のあるメロディとシコのくつろいだ歌声を聴いていると、不思議な魅力に飽きることがない。

 逆に言うと、強い印象の曲が少ないとも言えるのだが、これはこれでシコの魅力にあふれたアルバムだと思う。地味で落ちついた魅力のアルバムなのだ。

 シコの作品では"MORRO DOIS IRMAOS"や"TRAPACAS"などで美しいメロディを楽しめるし、軽快な曲調が魅力の"O FUTEBOL"が楽しい。ベベウ・ジルベルトが歌声を披露している"A MAIS BONITA"も美しい雰囲気だ。

 エドゥ・ロボとの共作では"A PERMUTA DOS SANTOS"で不思議な魅力のメロディを楽しめる。ジャヴァンと共作の"TANTA SAUDADE"では、リズミカルな演奏に乗ったメランコリックなメロディがいい。シコものって歌っている。

 ラストの"VALSA BRASILEIRA"では、シコが美しいメロディ切々と歌い、このアルバムにもの悲しい余韻を残している。