CHICO BUARQUE
シコ・ブアルキが４０歳の年に発表された充実のアルバムである。また、この年は２０年間も続いたブラジル軍事政権が終焉を迎える年でもあった。
シコはこの間、政府から勾留をはじめ放送禁止措置など、様々な弾圧を受けつづけてきたわけだが、自身は決してくじけることく素晴らしい作品をつくりつづけてきた。そして、ついに軍事政権最後の年となったわけだ。
ジャケットのシコの表情を見てほしい。はにかんだような嬉しそうな笑顔を見ていると、そんな事を思ってつい胸が熱くなってしまう。
このアルバムは、おだやかで落ちついた雰囲気があり、シコの美しい作品をじっくりと楽しむことができる。ほかにはドミンギーニョスやジョアン・ボスコとの共作も収められており、キューバのパブロ・ミラネスとの貴重な共演も聴くことができる。
名曲の"SAMBA DO GRANDE AMOR"は、シコならではの魅力あるサンバで大好きな作品。フランシス・イーミとの共作になる"VAI PASSAR"は、民政移管のよろこびを歌ったもので、当時のブラジル国民の愛唱歌ともなったという。もちろん、この心躍るようなサンバも大好きだ。
