ALMANAQUE

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ALMANAQUE(1981)

 哀愁に満ちたメロディの名曲"AS VITRINES"を筆頭に、繊細な音づくりをじっくりと堪能できるアルバム。シコ・ブアルキと豪華な演奏陣の才能をちりばめた音の宝石箱。歌も演奏もとにかく美しいアルバムに仕上がっている。

 シコを支える演奏陣から、ピアノとヴィオラォン(ガット・ギター)の担当だけを書き出してみると、ハダメス・ニャッタリ(ピアノ)、フランシス・イーミ(ピアノ、エレクトリック・ピアノ)、ハファエル・ハベーロ(7弦ヴィオラォン)、トッキーニョ(ヴィオラォン)、トニーニョ・オルタヴィオラォン)、エドゥ・ロボ(ヴィオラォン)と、有名どころの名前がずらりと並ぶ。

 誰もがシコの歌を支える仕事をじっくりと丁寧にこなしている。このアルバムでは、弾きまくって自己主張するような演奏をする者はいない。みんながシコの歌のために、愛情のこもった演奏をしているのだと聴いていて分かる気がする。

 収録された作品はどれも素晴らしいが、"AS VITRINES"では、哀感のこもった響きに魅了され、"ELA E DANCARINA"や"O MEU GURI"では、流麗な音にいやされる。心おどるような"A VOZ DO DONO E O DONO DA VOZ"や"ALMANAQUE"では、思わずいっしょに体を動かしてしまう。そして名曲の"TANTO AMAR"にじっと聴き惚れる。

 さらに完成度を高めたこのアルバムは、間違いなくシコの名盤のひとつだ。