OPERA DO MALANDRO

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OPERA DO MALANDRO(1979)

 「マランドロのオペラ」と題されたこのアルバムは、シコ・ブアルキが脚本を書いた同名の舞台で使用された楽曲を収録したもの。

 ブラジルの「マランドロ」とはいったいなんだろうか。このアルバムのジャケットにマランドロが写っている。白いスーツにパナマ帽でベンチでゴロ寝をする姿には、どこか悲哀を感じるが、サンバと女性と酒と自由を愛する無職のフーテンみたいなものである。

 決して本物の悪党にはなれないし、なろうともしない。日本の「寅さん」みたいなものだろうか。

 冒頭では、ベルトルト・ブレヒト作詞でクルト・ワイル作曲の「三文オペラ」の作品がとりあげられている。これはシコが歌詞を書き替えたものだ。それ以外はすべてシコ・ブアルキの作品で占められている。

 もちろんシコ自身も歌っているが、ここでは、アルシオーネ、エルバ・ハマーリョ、ガル・コスタナラ・レオン、ジジ・ポッシといった、有名どころの女性歌手も歌声を聴かせてくれる。

 物語りや歌詞の翻訳がないと内容を理解できないところがつらいが、シコはブラジルの貧困の中に生まれた、反骨精神を持った粋なマランドロをとても愛おしく思っているに違いない。