CHICO BUARQUE DE HOLLANDA

 

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CHICO BUARQUE DE HOLLANDA (1966)


 シコと同世代のブラジル音楽のミュージシャンは、ほかにカエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、そしてミルトン・ナシメントらがいるが、彼らのデビュー作の中では、シコのこのアルバムが文句なく一番に好きだ。彼らの中で最年少のシコが最初につくったこのアルバムは、ブラジルのサウダーヂを感じさせてくれる、忘れがたいものであることは間違いない。

 美しいメロディがながれて、それがふっと翳っていって哀愁を感じる。そこがたまらない魅力になっているのだが、きっと、それがブラジルの人たちの感じる郷愁ともつながっているのだろう。ブラジルの人たちは、きっとこのアルバムが大好きに違いない。もちろん日本人の私だって、はかない美しさや哀愁のある情熱的な歌に心を動かされている。

 シコの名曲である"A BANDA"や"TEM MAIS SAMBA"はもちろんのこと、"OLE OLA"や"SONHO DE UM CARNAVAL"など、どれも美しいメロディとともに、はかなさや哀愁を身にまとっている。忘れられない作品ばかりだし、ずっと聴きつづけていくアルバムだ。

 特に"SONHO DE UM CARNAVAL"の美しい響きは、同時期のアーティストでは聴くことのできないほど、ブラジルらしい切ない哀愁がこめられている。